盡心章句下
三十二
孟子曰、言近而指遠者、善言也、守約而施博者、善道也、君子之言也、不下帶而道存焉、君子之守、脩其身而天下平、人病舎其田而芸人之田、所求於人者重、而所以自任者輕。
孟子は言う。
「ありふれた言葉ながら悠遠を指し示すのが、善言というものである。守るのは簡単であるが効果が広大に及ぶのが、善道というものである。君子の言葉は『帯を下らない』(帯の上にある。すなわちこの胸にある)が、そこに道があるのだ。君子が守る道とは、自らの身を修め、そしてそれを遠きに及ぼして天下を平らかにすることだ。だが人が憂うべきは、自分の田を放置して他人の田の草を刈ってやることであり、また他人に過大に求めすぎるくせに自らに任じるものが軽いことである。」
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『孟子』全編で彼が常々主張していることが、本章でも格言として繰り返される。自らをよくせずして、どうして他人がよくなることを期待できるであろうか。個人も、組織も、国家も同じことである。
(2006.04.13)