続読荀子 ホーム


告子章句下



十六




孟子曰、教亦多術矣、予不屑之教誨也者、是亦教誨之而已矣。

孟子は言う。
「教えるのにも、またいろんな方法がある。教え諭すのをよからぬこととして捨て置くのも、これまた教え諭す一つの道にすぎないのだ。」

前章の裏返しである。性善説に立って、「人は誰でも舜のようになれる可能性がある」と説く孟子であるが、現実の人間はそれほど殊勝でもないし、素直に学ぼうともしない。そこで、「やる気のない奴にはいちいち過干渉せずに放置するのも、教育法の一つだ」と言うのである。性善説を放棄しているわけではないが、自暴自棄の不仁者をきっぱり捨てる孟子らしく、決して全ての子弟に優しい民主主義的教育者ではない。孔子も同様の教育観を言っている。「自分で調べない奴は、放置しろ」というネチケットと同様の見方である。本章を告子章句の末尾に置くことによって、性善説=全員が必ず賢くなる説ではないことを表明している。


以上で告子章句を終了する。最後の盡心章句は特に決まったテーマのない、雑多な文の寄せ集めである。基本的に一日で複数章ずつ見ていこうと思う。


(2006.03.08)



「孟子を読む」トップへ    ホームへ戻る



菜単
≪ メニュー ≫

梁惠王章句上

/七(その一その二その三

梁惠王章句下

十一十二十三十四十五十六
雑感その1その2

公孫丑章句上

/二(その一その二その三その四その五)/
仁・隣人愛・決意

公孫丑章句下

十一十二十三十四「見られる」倫理

滕文公章句上

/三(その一その二)/四(その一その二その三)/

滕文公章句下

/九(その一その二)/

離婁章句上
はコメントあり》


十一十二十三十四十五十六十七
十八十九二十二十一二十二二十三二十四二十五二十六二十七
二十八

離婁章句下
はコメントあり》

十一十二十三十四十五十六十七十八十九二十二十一二十二二十三二十四
二十五二十六二十七二十八二十九
三十三十一三十二三十三三十四
古代中国にデモクラシーを!?(その1その2

萬章章句上

萬章章句下

/四(その一その二)/

告子章句上
はコメントあり》

十一十二十三十四十五十六十七十八十九二十

告子章句下
はコメントあり》



十一十二
十三十四
十五十六

盡心章句上

十一
十二十三十四十五十六十七十八十九二十二十一二十二二十三二十四二十五二十六二十七二十八二十九 三十三十一三十二三十三三十四三十五三十六三十七三十八三十九四十四十一四十二四十三四十四四十五四十六

盡心章句下

十一十二十三十四十五十六十七十八十九二十二十一二十二二十三二十四二十五二十六二十七二十八二十九三十三十一三十二三十三三十四三十五三十六/三十七(その一その二)/三十八


おわりに