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盡心章句上



四十四




孟子曰、於不可已而已者、無所不已、於所厚者薄、無所不薄也、其進鋭者其退速。

孟子は言う。
「やめてはいけないことをやめてしまう者は、何をやってもやはりやめてしまうものだ。手厚くするべきことを簡単にしてしまう者は、何においても手厚く行なうことなどできないものだ。進み方が速すぎる者は、手じまいするのもまた速いものだ。」

本章も簡潔な格言である。前二つの文と三つめの文とのつながりを、「だから」と取るべきであろうか、「しかし」と取るべきであろうか。「だから」と取るならば、あせって手抜きをしながら修練することへの戒めとなるだろう。一方「しかし」と取るならば、一時的に熱中して先々進む修練の仕方は、往々にして結局息が続かずに挫折して、中途で放棄することにつながるだろうということを戒めたものとなる。いずれにしても、拙速を戒める言葉となる。本章句上、二十四での波のたとえと同じで、少しずつでも確実に進んでいかないと真に自分のものにはならないという格言である。


(2006.03.29)



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