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孟子を読む



中国の古典『孟子』を少しずつ訳して読んでみるコーナーです(2006.4月をもって完結)。

各章へは、右の”菜単(メニュー)”から飛んでください。
私は東洋哲学の専門家ではないし、哲学科の出身でもないので、ただただ読んでみて感じたことをコメントとして書き綴っていく予定です。もちろん、ご意見やご批判はあると思いますが、その辺りの事情を考慮していただければ幸いです。
儒教の書のコンメンタールとしての名著といえば、『孟子』ならば吉田松蔭の『講孟箚記(こうもうさっき)』(講談社学術文庫)があり、『論語』ならば澁澤榮一の『論語講義』(同じく講談社学術文庫)や貝塚茂樹の新解釈(『論語』中公文庫)などを挙げたいと思います。私はこれらの古典を読み切った達人のコメントにはハナから到底及びません。だが、ただの一素人として現代の若造なりに古典を読んでみたいと考えてみます。 読んで何か言ってみたいと感じた節を抜粋してコメントするパターンで進行します。
原文と訳だけにとどめる章もあります。
『孟子』の中には似たような内容・主張の繰り返しや、現代的にあまり意義のない哲学的問答もかなりありますので。

コメントは、あくまで『孟子』を思想家と見て、人間について社会について何が言いたかったのかということを中心に読んでいきたいと思います。あくまでも私の読みです。
孟子の先輩、孔子の『論語』への言及はかなり出ると思います。
またたぶん、『聖書』を比較対象として引き合いに出すことが多いと思います。

原文と訳を載せて、読み下し文は載せませんでした。
一つは、漢文がもはや学校の必須科目でなくなり、読み下し文の意義もほとんどなくなってしまったと思ったからです。
もう一つは、読み下し文といえども解釈であり、戦国時代の著書で比較的文意がはっきりしている『孟子』でも、解釈に若干のぶれがあります。素人の私ではそこまでとても解説しきれないと考えたからです。
原文にはユニコードの「CJK統合漢字」を使っています。だから、ブラウザによっては読めない漢字が出てくると思います。原文を載せるためには、いたしかたない。
訳は自由な意訳です。

最後に、上のタイトルの "Lego Mencium" はラテン語で「孟子を読む」です。


台北・孔廟の孟子と曾参(曾子)の位牌。孔子を祀る主殿である大成殿(たいせいでん)には、孔子の位牌の左右の脇に顔回・子思・曾参・孟子の四名の位牌が置かれている。その周囲には子路・子貢・朱子など十二哲人の位牌があり、さらに大成殿を出て左右に並んでいる東西の回廊には、董仲舒、韓退之、張横渠、王陽明、顧炎武などの中国の歴史上著名な儒者たちの位牌もまた祀られている。蜀漢の丞相諸葛亮孔明や、明の永楽帝に反抗して刑死した方孝孺(ほうこうじゅ)の位牌もある。


『孟子』出典の成語・名言
(別に出典があって、文中で引用として使われているものは除く)

≪あ行≫
「伊尹(いいん)の志あれば則ち可なるも、伊尹の志なければ則ち簒(うば)うなり」 →盡心章句上、三十一

≪か行≫
「割烹(かっぽう)」 →萬章章句上、七
「鰥寡孤独(かんかこどく)」 →梁惠王章句下、五
「木に縁(よ)りて魚を求む」 →梁惠王章句上、七
「君子は庖廚(ほうちゅう)を遠ざく」 →梁惠王章句上、七
「恒産(こうさん)なき者は恒心なし」 →梁惠王章句上、七
「浩然(こうぜん)の気」 →公孫丑章句上、二
「尽(ことごと)く書を信ずれば、則ち書なきに如かず」 →盡心章句下、三
「五十歩百歩」 →梁惠王章句上、三

≪さ行≫
「采薪(さいしん)の憂(うれい)」 →公孫丑章句下、二
「往(さ)る者は追わず、来る者は距(こば)まず」 →盡心章句下、三十
「志士は溝壑(こうがく)に在るを忘れず、勇士は其の元(こうべ)を喪うを忘れず」 →滕文公章句下、一
「私淑(ししゅく)」 →離婁章句下、二十三
「自暴自棄(じぼうじき)」 →離婁章句上、十
「集大成(しゅうたいせい)」 →萬章章句下、一
「尚友(しょうゆう)」 →萬章章句下、八
「助長(じょちょう)」 →公孫丑章句上、二
「親炙(しんしゃ)」 →盡心章句下、十五
「垂統(すいとう)」 →梁惠王章句下、十四
「斉東野人(せいとうやじん)」 →萬章章句上、四
「生道を以って民を殺さば死すと雖(いえど)も殺す者を怨みず」 →盡心章句上、十二
「先覚者(せんかくしゃ)」 →萬章章句上、七
「草莽(そうもう)の臣」 →萬章章句下、七
「惻隠(そくいん)の心」 →公孫丑章句上、六

≪た行≫
「大山(たいざん)を挟(わきはさ)みて北海を超ゆ」 →梁惠王章句上、七
「民を貴しとなし、社稷(しゃしょく)これに次ぎ、君を軽しとなす」 →盡心章句下、十四
「天爵(てんしゃく)」 →告子章句上、十六
「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」 →公孫丑章句下、一

≪は行≫
「匹夫(ひっぷ)の勇」 →梁惠王章句下、三
「不動心(ふどうしん)」 →公孫丑章句上、二

≪ま行≫
「自ら反(かえり)みて縮(なお)ければ、千萬人といえども吾往かん」 →公孫丑章句上、二
「偕(みな)と楽しむ」 →梁惠王章句上、二

≪ら行≫
「立命(りつめい)」 →盡心章句上、一
「流連荒亡(りゅうれんこうぼう)」 →梁惠王章句下、四
「壟断(ろうだん)」 →公孫丑章句下、十


『孟子』の主要な登場人物

孟子(BC372? - BC289?)
名は軻(か)。字は子輿(しよ)。中国、戦国時代の儒家。当たり前だが『孟子』に出てくる最重要人物。先輩孔子の『論語』と違って、全節に本人が登場する。

― 同時代の人物 ―
公孫丑(こうそんちゅう)
孟子の弟子。大先生の説教を食らう聞き役その一。
萬章(ばんしょう)
孟子の弟子。大先生の説教を食らう聞き役その二。孟子の弟子は先輩孔子の弟子たちに比べて個性に乏しい。
楽正子(がくせいし)
孟子の愛弟子。だがそのとりえは「善を好む」だけで他に取り立てて言うべき能力はないと評される。
梁恵王(りょうけいおう)
戦国七雄の一、梁すなわち魏の王。魏は当時大陸最強で勢力拡大に熱心だったが、孫子(孫「ピン」の方)の指揮する斉に敗れる。
斉宣王(せいせんおう)
戦国七雄の一、斉の王。父の威王の時代に続き斉を東の覇権国に押し上げる。この王が行った燕侵略が後々にたたって、次の王の時代(自らの時代という説もあり)に斉は楽毅(がくき)率いる燕軍の逆襲に会って惨敗する。
滕文公(とうぶんこう)
戦国七雄にも入らない小国滕(とう)の公。それだけに現状を何とかしたいと孟子の説を熱心に聴く。
告子(こくし)
謎の人物。仁義は人間の本性ではない外部からの強制だと主張する点で、荀子や老荘の説と立場を同じくする。彼の説を孟子はいちいち反駁し、弟子に「俺の方が上だ」と吹聴する。大先生はよほど腹にすえかねていたのだろう。

― 過去の人物 ―
墨子(ぼくし)
墨家(ぼっか)の開祖。墨家は孟子の思想的宿敵である。
孔子(こうし)
儒家の開祖で孟子の先輩。顔淵(がんえん)、子貢(しこう)、子路(しろ)など多彩な個性の弟子に恵まれる。
舜(しゅん)
いにしえの聖王。堯(ぎょう)から位を譲られる。親孝行の見本とされる。
伊尹(いいん)
いにしえの聖王、殷(いん)の湯王(とうおう)を輔佐した臣。賢臣の見本とされる。
文王(ぶんおう)
周の聖王。その仁政がしきりに言及される。といっても実際に天下を取ったのは子の武王(ぶおう)の代から。
紂王(ちゅうおう)
殷最後の王。殷の前の夏(か)の桀王(けつおう)と共に人非人の典型とされる。
伯夷(はくい)
周の文王の臣。次代の武王が紂王を討とうとするのを諌めて容れられず、天下を取った武王の下に仕えなかった。これも賢者の見本とされる。


『孟子』七篇について


梁恵王章句上・下
孟子が遊説した各国の君主との問答記。キーワードは「偕(みな)と楽しむ」。仁政とはいかにあるべきかが論じられる。
公孫丑章句上・下
君子の育むべき心のあり方の分析が中心。キーワードは「不動心」と「安宅(あんたく)」。後半は主に孟子自身の進退が実例として描かれる。
滕文公章句上・下
孟子率いる教団の闘争記的色彩が強い。
離婁章句上・下
儒教徒が規準とすべきスタンダードについての議論。
萬章章句上・下
弟子の萬章と孟子との問答を通じた、歴史上の聖人賢人の行跡についてのケース・スタディー集。
告子章句上・下
人間の本性は何かについての形而上学的議論だが、西洋哲学的規準から見るとあまり議論になっていない。
盡心章句上・下
逸文集であろうか。長短様々な文の寄せ集め。






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十一十二十三十四十五十六
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/二(その一その二その三その四その五)/
仁・隣人愛・決意

公孫丑章句下

十一十二十三十四「見られる」倫理

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離婁章句上
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二十八

離婁章句下
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古代中国にデモクラシーを!?(その1その2

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告子章句上
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盡心章句下

十一十二十三十四十五十六十七十八十九二十二十一二十二二十三二十四二十五二十六二十七二十八二十九三十三十一三十二三十三三十四三十五三十六/三十七(その一その二)/三十八


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