盡心章句下
十六
孟子曰、仁也者人也、合而言之、道也。
孟子は言う。
「仁とは、人のことである。両者が合わさった状態を、正しい道と言う。」
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朱子は一説として、本章の「仁也者人也」の後に「義也者宜也、礼也者履也、智也者知也、信也者實也」とある外国本がある、と紹介している。それを訳せば、「義とは、宜(よろし)き状態のことである。礼とは、形を履(ふ)むことである。智とは、知ることである。そして信とは、実(まこと)たることである」となる。そうすれば本章は「仁・義・礼・智・信を合わせて、正しい道であると言うのだ」という意味となって、ずいぶんわかりやすくなる。しかしいかにも仁・義・礼・智・信と似た音の言葉をあてはめて作ったような、後世の作為くさい説のような印象がある。
(2006.04.06)