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盡心章句上



二十五



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孟子曰、雞鳴而起、孳孳爲善者、舜之徒也、雞鳴而起、孳孳爲利者、蹠之徒也、欲知舜與蹠之分、無他、利與善之阮轣B

孟子は言う。
「朝、鶏の声を聞いて起き、精いっぱい善にいそしむ者は、舜の仲間と言えるだろう。しかし朝、鶏の声を聞いて起き、精いっぱい己の利益のためにいそしむ者は、蹠(せき。伝説の大盗賊、盗跖のこと。公孫丑章句上、九のコメントも参照)の仲間と言えるだろう。舜と蹠とを分かつところを知ろうと思うならば、他ならない、それは己の利益を成すか、善を成すかの差なのである。」

「王よ、仁義だけを唱えなさい。どうして利益ばかりおっしゃるのです」(梁恵王章句上、一)と孟子は言った。そのように利益よりも仁義を人間倫理の根本に置く孟子であるから、本章のような発言もまたその主張に沿ったものである。現代的な観点から見ればあまりにも極端すぎる主張であるが、人間の行為があからさまであった古代社会においては、ここまで主張しなければ人間に指針を示せなかったのであろう。


(2006.03.20)



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