『大学或問』伝四章
出典:国立国会図書館デジタルコレクション『四書集注大全』(明胡廣等奉敕撰、鵜飼信之點、附江村宗□撰、秋田屋平左衞門刊、萬治二年)より作成。 〇各ページの副題は、内容に応じてサイト作成者が追加した。 〇読み下しの句読点は、各問答の中途は読点、末尾は句点で統一した。 〇送り仮名は、原文の訓点から現代日本語に合わせて一部を変更し、かつ新かなづかいに変えた。 |
《読み下し》 或(あるひと)問う、訟を聽く一章、鄭が本に元信に止まりの後、心を正し身を脩むるの前に在り、程子又進めて之を經文の下、此を知の至と謂うなりの上に寘(お)く、子之に從わずして、之を此に寘くことは、何ぞや。 曰、傳の結語を以て之を考えれば、則ち其の本末を釋するの義爲(た)ること、知んぬ可し、經の本文を以て之を乘すれば、則ち其の當に此に屬するべきこと、見つ可し、二家の説、未だ安ぜざる者、故に得て從わずなり。 曰、然らば則ち訟を聽き訟無き、明德新民の義に於て、何の當る所かあるや。 曰、聖人德盛に仁熟す、自ら明にする所以の者、皆天下の至善を極む、故に能く大いに以て其の民の心志を畏服すること有りて、之をして敢て其の無實の辭を盡さざらしむ、是を以て其の訟を聽くこと以て衆人に異なること無しと雖も、而(しか)も自ら訟の聽く可きなし、蓋し己が德旣に明にして、民の德自ら新なれば、則ち其の本を得るの明效なり、或は然ること能わずして、争を分ち訟を辯(わけ)るの間に區區として、以て民を新にするの效を求めんと欲するは、其れ亦末なり、此れ傳者經を釋するの意なり。 曰、然らば則ち其の終始を論ぜざるは、何ぞや。 曰、古人の經を釋する、其の大略を取る、未だ必ずしも是の如く屑屑(せつせつ)(注1)たらずなり、且つ此の章の下に、闕文有り、又安んぞ其の本有りて并(あわ)せて之を失うに非ざることを知らんや。
(注1)屑屑は、こまごまといそがしい様。
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《要約》
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